金融サービス業:「属人化」と「人員不足」を解決し、運用移管と新サービス導入の支援事例
はじめに
金融サービス業界において、システムの安定稼働と法規制への準拠は必須です。しかし、成長を続けるサービスの裏側では、特定の担当者に業務が依存する「属人化」や、複雑化したシステム運用がボトルネックとなるケースが少なくありません。特に、既存サービスの閉塞(サービス終了)、サービスの移管といったフェーズでは、一歩間違えれば法令違反や顧客離れを招く大きなリスクを抱えています。
本記事では、国内大手金融サービス業者様において、弊社が実施した「既存システムの運用保守、サービス閉塞移管、および新規サービス導入支援」のプロジェクト事例をご紹介します。属人化とリソース不足という課題に対し、いかにして標準化された運用体制を築き、納期遵守の移管を成功させたのか、その具体的な事例を解説します。
プロジェクト背景とクライアントが抱えていた課題
本企業様の担当部署では、暗号資産やFXといった金融サービスを展開していましたが、組織の変化や担当者の離任に伴い、プロジェクト管理業務を担う人材不足が発生する可能性がありました。
1. 運用保守と案件管理のリソース不足
既存サービスの保守・運用を行う人員が不足しており、日々発生する追加改修案件の進捗管理や課題解決が追いつかない状況にありました。また、新規サービス導入においても、複雑な要件を取りまとめるリード担当者が不在となっていました。
2. 業務の「属人化」
また、大きな構造的課題として、業務手順が標準化されていなかった課題が存在していました。特定の社員のスキルや経験に依存した運営がなされており、業務品質のバラつきや、ノウハウが組織として蓄積されないというリスクを抱えていました。
3. 法令制約と「3ヶ月」という短納期
プロジェクト期間中、経営判断により特定のサービスを閉塞し、顧客情報を外部企業へ移管することが決定されました。金融サービス特有の法令関連の制約が多く、かつ移管時期の決定から実施まで3ヶ月間という極めてタイトなスケジュールで、納期厳守での遂行が求められるという状況となっていました。
アプローチとプロジェクト推進のポイント
弊社では、PMOとしてユーザー部門と開発ベンダー、そして社内関連部署間に入り、徹底した可視化と標準化を推進しました。
「可視化」によるプロジェクト管理
Redmine、JIRA、Backlogといったツールを活用し、散在していたタスクを一元管理しました。定例会議の運営やSlack/MatterMostを用いた迅速なコミュニケーション設計を行い、「誰が何をしているか」を関係者が即座に把握できる体制を整えました。
「標準化」による属人化の解消
「業務品質が個人のスキルに依存している」という状況を改善するため、運用手順書やナレッジベースを整備していきました。過去の類似案件の課題を洗い出し、影響箇所の対応漏れを防ぐためのチェックリストを作成するなど、対応漏れのリスクを軽減するようにしました。
ステークホルダー間の「調整力」
サービス閉塞・移管対応においては、移管元・移管先・ベンダーという三社間の複雑な調整を主導しました。特に、部門間の連携がうまく行えていない状況があったため、タスクの前後関係を明確にし、遅延の影響を具体的に示すことで、各部門がスケジュールに沿った推進ができるよう体制を構築しました。
システム構成とプロジェクトの全体像
本プロジェクトは、2024年10月から2025年9月までの約1年間で実施されました。
複雑なサービス群の統合管理
対象となったのは、顧客管理・認証システムを中心とし、複数の取引ツール(A・B・C)やデータベースが連携する大規模なシステム群です。
- 既存サービス: 継続的な運用保守と追加改修。
- 閉塞サービス: システムのクローズおよび外部企業へのデータ移管。
- 新サービス: 導入に伴う追加要件の調整、ベンダー管理、および受入テスト(UAT)。

弊社では、これらのシステムに関連する本企業側の窓口担当として、外部のシステムベンダーとコミュニケーションを取り、要件定義からリリース確認、運用手順の整備までのライフサイクルを全面的にサポートしました。
最終的な成果
約1年にわたる本プロジェクトの支援結果の主な成果は以下の通りです。
1. サービス閉塞・移管の納期通り完遂
法令遵守と顧客保護が最優先される金融移管において、3ヶ月という短期間でシステムのクローズと移管対応を無事に完了させました。タスクや影響度の可視化により、大きな遅延なく対応することができました。
2. 業務品質の向上と「標準化」の実現
属人化されていた業務を手順書化することで、業務品質のバラつきを解消しました。特定の社員のみが保有していた経験や知識をナレッジ化し、部門全体の知見向上に寄与しました。
3. 教育コストの削減と効率化
新規参画メンバー向けのオンボーディング資料を整備したことで、教育にかかる時間を大きく効率化しました。これにより、将来的な人員交代や増員にも柔軟に対応できる組織体制に貢献しました。
おわりに
リソースの不足や業務の属人化は、多くの企業が直面する課題ですが、金融サービスのようなミッションクリティカルな現場では、それが即座に重大なリスクに直結します。
今回の事例では、専門的な知見を持つPMOが現場に入り込み、管理ツールも使いながら「標準化」を徹底することで、既存サービスの運用や短期間での移管対応などを実行してきました。
弊社は、金融・FinTech領域におけるシステム運用保守、プロジェクト管理、標準化支援を行っております。属人化の解消や難易度の高い移管プロジェクトにお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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